丸山楽雲〈論語篆刻集〉序文


丸山楽雲〈論語篆刻集〉が中国図書出版から出版されました。その序文の一部を紹介いたします
丸山楽雲「論語篆刻集」序

元 中国書法家協会副主席
現 陝西省書法家協会名誉首席
   西安交通大学教授、同藝術館館長
鐘 明善

「論語」は孔子の弟子及びその弟子たちに伝えられた孔子の言行を集めた儒家の経典です。儒教、仏教、道教は古くから「三教」と呼ばれ、中華民族の伝統、文化、思想の三大精神支柱です。またアジアの文明と知恵の精髄です。孔子思想は三千年前から中国とお隣の日本、韓国、ベトナムなどの国々の文化、政治、倫理、経済、道徳、思想藝術などあらゆる方面に深い影響を与えて来ました。著しく発展している日本の財界人たちの間にも「論語」による企業管理の例がみられます。修身、斉家、治国、平天下等の名言警句は更にアジアの文化人の基準にもなっています。それは凝集した中華民族の思想の根源的語彙として三千年前から、中国人、アジア人の家宝として代々受け継がれてきました。

[中略]

論語が世界の法典とされる今、多種多様な文化的手段によって人々にその輝かしい光を放っています。更に多くの藝術家達は、“好古敏求”的に自己の為すべき事、任務とさえ考えているのです。私の古い友達丸山樂雲さんもその一人で、楽しく弛み無く追及している篆刻家の大家です。
 私が丸山樂雲さんと知り合ったのは、二三年前のことです。一九八四年私と篆刻家傅嘉儀さんが西安の代表団として千葉県(船橋市)で開かれた西安金石拓本展に参加した時です。日本の書家、篆刻家との文化交流があり、丸山さんも遠路参加しました。彼が日本の篆刻の大家梅舒適先生の弟子であることは既に知っていました。“敏而好学”極めて感性思考能力の高い篆刻家です。彼の私達に対する情熱的な歓迎は印象深く、最も忘れ難いことは、交流期間中徹夜で筆談した時のことです。日本の現代書法流派を話し、彼は興奮して酔趣来たって私の部屋中の“色紙”を全部書いてしまった。ですから彼の即興的に芸を演ずることと私の“墨象派”“和様書法”との感性的認識とは分けられません。私は今もまだ当時の書法作品を大事にしまってあります。その後彼とは何回も中国で篆刻展覧会を開き、私たちの友情と交流は続いています。

[後略]

今年の春、彼から「論語篆刻集」が送られて来ました。私はとても嬉しく彼の新作を見て感動しました。主に以下の三点に集約されます。

* 感動其一、
 彼は「論語」研究に奥深く入り、そこから精華を取り出し、わかりやすく表現しています。この篆刻集は「論語」の基本思想と知恵の精華であります。この事から丸山さんは漢学を深く研究されていることがわかります。
* 感動其二、
 彼は、「論語」思想とムードを一致させるべく篆刻表現をしています。彼の篆刻作品中の「不激不励」のイメージは、儒家思想の中の“調和の美”の審美理念を表しています。この理念は陰陽の対立と統一という中国文化思想、藝術審美理念を体現したもので、われわれが普段書法篆刻作品についてのべる読書人(知識人、学者)の気品、風格というものがここに見られます。これは丸山さんの篆刻作品の魅力です。
* 感動其三、
 彼の篆刻作品は、伝統の上に個性を出していることです。彼の刀法、字法の中で若者の様な気性の激しさからは離れて、含蓄、蘊蓄に富み成熟しています。また彼は伝統と、現代篆刻の様式美など多要素を総合的に運用し、その作品は彼の学識と才能を表し、篆刻藝術の多様性の追求の面でも大変優れた成果がみられます。

あれからもう二十年たって、私も鬢が半ば白くなりました。丸山さんもあの時の様に徹夜で書法藝術を交流する元気一杯の若者でもなくなりましたが、私たちは友情を大切にし、二人の同じ目標である藝術追求の中で絶え間ない交流と審美理念を最も大切なものにしてゆきましょう。丸山さんの「論語篆刻集」は、日中文化交流、藝術交流の盛んな今日出版されることは大変意義深いものです。
 是を序といたします。

二〇〇七・七・四  西安交通大学芸術館において。
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